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刹那・F・セイエイ in ネオ・ヴェネツィア (その1) [小説?]

1. プロローグ

リボンズ・アルマークの死とアロウズの解体により、地球にひと時の平和が訪れた。
ソレスタルビーイング(以下“CB”)は紛争の抑止力として戦い続けるつもりだったが、地球圏で紛争が起きなければ介入することもできず、やはり彼らもひと時の安寧に浸っていた。
ただ、このまま紛争がなくなると考えるほどCBは楽観主義者の集団ではなかった。来るべき新たな紛争、そしてそのときに紛争に投入されるだろう新兵器に対抗するため、CBも出撃機会がないこの時期を見計らって新兵器・新ガンダムの機体開発に余念がなかった。

GN-0000+GNR-010・ダブルオーライザーはリボンズ戦時に大破したがその後回収され、新装備の開発や機体性能の向上が図られていた。

ダブルオーライザーの大規模な改修が図られることになったのは、CBの母艦・プトレマイオスの総合整備士であるイアン・ヴァスティの娘であり、オペレーター兼メカニックのミレイナ・ヴァスティのこの一言だった。

「太陽炉2個積んだらGN粒子の生産量が1個の時の2乗になるんだったら、太陽炉4個積んだらGN粒子の生産量が8乗になって、さらにダブルオーガンダムは無敵になるですぅ~」

CBの戦術予報士であるスメラギ・李・ノリエガやダブルオーライザーのガンダムマイスター(パイロット)である刹那・F・セイエイの猛反対を押し切って、イアンは親バカぶりを発揮してこの娘の発案を本当に実行に移してしまった。幸い紛争が発生する予兆もなかったので、刹那を除くトレミー(プトレマイオスの愛称)のクルーは結局それを黙認してしまった。


そして太陽炉を4個搭載した新たなるダブルオーライザー、仮称GNX-00000000+GNRX-040・クアドラオーライザーが完成してしまった。ダブルオーガンダム開発時にあれだけ苦労した太陽炉の同調も、とりあえず太陽炉を4個搭載してみただけで調整もなしであっさり同調してしまった。これにはスメラギも「最初から4個積めばよかったかしら」とつぶやいた程だった。

早速クアドラオーライザーの運用試験が始まった。パイロットはもちろん刹那だった。クアドラオーライザーの開発中ずっと不機嫌だった刹那だったが、やはり生まれ変わった自分の機体が気になるらしく、運用試験当日には当然のようにパイロットスーツを身に着けていた。今回の運用試験ではライザーソードは使わない予定だったので、4個の太陽炉の微調整を行う新型オーライザーには誰も乗らなかった。


「刹那・F・セイエイ、出る!」
普段と変わらぬ口調で、刹那はモビルスーツ発進時の決め台詞を言いながらクアドラオーライザーをトレミーから発進させた。
刹那は徐々に太陽炉の出力を上げていく。クアドラオーライザーはダブルオーライザーとは比べ物にならない加速度で宇宙空間を飛翔した。そのGは、さすがの刹那も失神しかけるほどだった。
「凄い!GN粒子放出量がダブルオーライザーのトランザム状態の4倍だ!」
イアンが興奮気味にそう叫んだ。他のトレミーのクルーたちも驚きと興奮を隠せない。自分たちは今、最強のモビルスーツ、最強のガンダムの誕生の瞬間を目の当たりにしている気分を覚えていた。

「刹那、そろそろトランザムを起動してみてくれ」
通常時のデータをほぼ取り終えたイアンが、刹那にそう告げた。
刹那は、
「トランザム!」
と言いながらトランザムを起動させた。トランザムは危険なので、起動する際は「トランザム!」と叫ばなければならいのだった。刹那を含めたガンダムマイスターからこのトランザムの起動方法に対して全く文句が出なかったので、刹那も内心「トランザム!」と叫ぶのが気に入っているらしかった。

トランザムが起動し、クアドラオーライザーが赤く発光し始めた。イアンはGN粒子放出量の測定器に目をやると、測定器の目盛りが完全に振り切れていた。想像だにしなかった量のGN粒子がクアドラオーライザーから放出されていた。GN粒子はあっと言う間に宇宙に広がっていき、トレミーすらもGN粒子の奔流に煽られ船体バランスを崩すほどだった。
クアドラオーライザーは完全に量子化していた。位置と運動量が同時に正確に観測できない状態になっていた。これ以上のトランザム状態は危険と判断したイアンが、トランザムを解除しろと刹那に伝えようとした瞬間、クアドラオーライザーから発せられたGN粒子の猛烈な衝撃波がトレミーを襲った。激しい揺れにトレミーの誰もが自分の身体を固定するのに必死になり、クアドラオーライザーがどうなったか確認できなかった。

やがてトレミーの揺れが治まり、イアンたちはクアドラオーライザーと刹那を探した。しかし機体はもちろん刹那さえどこにも見つけることができなかった。クアドラオーライザーがいたと思われる場所を中心として、未だ濃密なGN粒子が宇宙空間を漂っているので、そのジャミング効果で刹那と連絡がとれないのだと、半ば祈りながらトレミーのクルーたちはなんとかクアドラオーライザーを探し、刹那と連絡を取ろうと計器と向き合った・・・

つづく


この小説?はフィクションであり、小説?を構成する全ての文章・台詞などは直接的に現存の作品を否定するものではありません。
また、小説?の特性上、ほぼ全てに現存及び類似する作品、商標、キャラクター、団体名等が登場しますが、これらはその経済的価値を利用し、またはそのイメージを損ねる目的で使用しているものではありません。

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